<Header>
<Author: 丘為>
<Title: 尋西山隱者不遇>
<Format: 五言古詩>
<Year: 1988>
<BookName: 唐詩三百首詳解  上卷>
<Translator: 田部井文雄>
<style: 現代文無假名>
<style2: 日本現代譯文無假名標注>
<TranslatedTitle: 西山の隠者を尋ねて遇はず>
<BookPage: 82>
<UsedPage: 1>
<Feature: 0>
<End Header>
<Poem>
絕頂一茅茨，
直上三十里。
扣關無僮僕，
窺室唯案几。
若非巾柴車，
應是釣秋水。
差池不相見，
黽勉空仰止。
草色新雨中，
鬆聲晚窗裏。
及茲契幽絕，
自足蕩心耳。
雖無賓主意，
頗得清淨理。
興盡方下山，
何必待之子。
<End Poem>
<Translation>
西山の頂上に一軒のかやぶきの庵があり、それを目指してまっすぐ上ること三十里。門をたたいて隠者
の家を訪れたが、下僕もいない。部屋をのぞいてみると、ただ、机があるだけだった。

隠者の粗末な車にほろをかけて出かけたのでなければ、きっと秋の川に釣りに行ったのであろう。行き違ってしまって、隠者に会うことができず、つとめて会おうとしつつも、今はただ仰ぎ慕うばかりだ。

あたりの草の色は、降り始めたばかりの雨の中に濡れて、彩りを増して見え、松風の音が夕暮れの窓辺にひびいて聞こえる。ここでわたしは、この上なくもの静かに、世俗とかけ離れた世界に出あって、自然とわたし自身の心や耳の汚れをすっかり洗い清めることができた。

客であるわたしと主人であるあなたとが親しみ合う情はなかったけれども、すこしばかり、清らかで汚れのない世界の本質に触れることができた。興趣を味わい尽くして今まさに山を下ろうとする時に、どうして必ずしも西山の隠者というこの人に会うことを期待しようか。
<End Translation>